身体と精神の健康は密接に関係している
昔から重視されてきた身体と精神の健康
健全なる精神は健全なる肉体に宿る、という名言を聞いたことがあるでしょうか。
これは、古代ローマの風刺詩人ユウェナリスの言葉で、今でもよく引き合いに出されることがあります。
また、日本には「病は気から」という言葉があります。
このように古くから、身体と精神の健康の関係性は繰り返し指摘されてきました。
WHOが健康の定義に、身体と精神の健康の両方を含めたことで、それぞれの重要性と関係性はますます注目されています。
この記事では、それぞれがどのような影響を及ぼしあっているのか考えてみます。
健全なる肉体から健全なる精神を実現する
規則的な生活習慣は、精神疾患に対しても有効であることは多くの研究で明らかになっています。
睡眠時間、適度な運動、バランスの良い食事、適度な休息、心地よい人間関係などが大切です。
例えば運動の習慣がある人は、うつ病の罹患率が低いという研究結果もあります。
こうしたエビデンスがあるので精神疾患の治療では、まずは生活習慣の改善が促されることも多いのです。
一方で、身体の病が精神の病をもたらすケースもあります。
代表的なのが、動脈硬化です。動脈硬化は、認知症のほか、うつ、慢性的な不安、睡眠障害、などの原因となりえます。
また行き過ぎたダイエットで栄養が不足して、メンタルヘルスに影響を及ぼすこともあります。
病は気からは本当
メンタルの影響が大きい期間として消化器が挙げられます。特に不安や恐怖といった感情は、消化器系に不調をもたらすことがあります。
その他にも、血糖値や血圧の上昇などにつながることもあります。こういった経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
なぜメンタルの状態がここまで身体に影響をもたらすのかというメカニズムはよく分かっていない部分が多いです。
しかし、メンタルの不調の影響の範囲については研究が進んでいます、
例えば、精神的な病により、脳に炎症が生じることが分かっています。
この炎症の原因となるのが、周りの器官を過剰に攻撃してしまう病原T細胞です。ここにストレスがかかって活発化し、脳をはじめ、消化器官に炎症を及ぼしてしまうのです。
ストレスにより免疫細胞の活動が落ちてしまうこともわかっています。
ある実験では、メンタルの安定を自認している人と、メンタルの不安定を自認している人では、免疫細胞の活性レベルが2倍の差があったという実験結果もあります。