心の健康と運動

精神の健康と運動の深い関係

精神疾患の治療といえば薬物治療を連想する方も多いですが、まずおすすめしたいのは生活習慣の改善です。

その中でも近年は、運動による精神疾患へのアプローチが注目されています。

運動をしてから、程よい疲れとともに気分がすっきりする、なんとなく気持ちよくなるという経験をしたことがある方も多いでしょう。

実際に20年ほど前から、運動を用いた治療の研究が本格化しており、薬物と運動の併用が推奨されているのです。

こういった研究から分かっているのは、週3日程度、少し息が上がるくらいの運動を取り入れるとよいということです。

ただ、週1日程度の運動でも効果があるという研究もあるので、今まで運動の習慣がほとんどなかった方は自分ができる範囲ではじめてみればよいでしょう。

うつ病やパニック障害、双極性障害など幅広い病気の治療で運動が行われています。

また、運動の効果は治療だけにとどまりません。

定期的に運動する肩は、精神疾患の罹患率が低いという研究もあるので、予防効果もあるのです。

なぜ運動がメンタルケアになるのか

運動がメンタルに影響を及ぼす理由は、交感神経にあります。

交感神経とは、日中に身体が活発な時に活性化する神経です。

身体を動かすことによって、交感神経が優位になると、心はポジティブになったり安定化したりしやすくなるのです。

また、エンドルフィンやセロトニンといったホルモンも関係しています。

これから2つのホルモンは、精神状態をリラックスさせる作用があるのですが、これらも運動によって出やすくなるのです。

運動の副次的な効果

そもそも人間の身体は、一定の活動を行うようにできていますから、運動によって規則正しい生活が送りやすくなるというメリットもあります。

運動により程よい疲れを感じることができれば睡眠の質の改善につながります。

また、運動によって体力を維持することによって精神疾患から回復してからの社会復帰がしやすいという利点もあります。

精神疾患の治療で運動を取り入れるポイント

基本的に取り入れる運動の種類は問われません。

怪我をしないように徐々に強度をあげていくこと、有酸素運動も取り入れることあたりを心がければよいでしょう。

もちろん運動だけではいけません。

かかりつけ医の指示に従うことが基本となります。薬物治療を勧められた場合には、服薬も継続しましょう。

また、改善すべき生活習慣は運動だけではありません。

食事、睡眠のほか、飲酒や喫煙とも適切な関わり方が必要です。

「あれもこれもしないといけない」と自分を追いこんでしまうのは良くありませんが、あくまでも治療の一環として運動を取り入れるようにしましょう。