精神疾患は増えているのか

精神疾患が増えているかの判断は難しい

近年は、うつ病などの精神疾患が社会問題化していて、それが増えているのが大きな問題だという言説もよく目にするようになりました。

しかし、精神疾患が本当に増えているのかという判断って実はすごく難しいんです。

確かに精神疾患で病院において治療を受ける人の数は増えました。2017年、その数は400万人を超えました。

受信している人の数は増えていても、罹患している人の数は増えていないという見方もあります。

またうつ病などの定義が変わることによって、診断の範囲も変化するので、精神的な問題で苦労している人が増えたのかというのは正確には分からないのです。

個人的には、増えているにせよ、あまり変化がないにせよ、年間400万人が精神疾患で通院しているという事実に目を向けて、対策を考えるのが有意義であると考えます。

10代をはじめとする子供の精神疾患

ある調査では、10代、20代において精神疾患が増加しているという結果が出ています。

ここではこうした若年層のメンタルヘルスの変化について考えてみます。

10歳入未満であれば、幼少期からの徴候があったり成長の過程で精神的な問題が発生することが多いですが、10代になると精神疾患の原因やその実態は大人のものと変わりません。

様々な原因がありますが、大切なのは家が心のよりごころとなっているかという点です。

学校をはじめとして社会生活でストレスを受けることも多い中で、唯一の安心できる場所が家であるというケースも少なくないからです。家でさえ自分の居場所を感じることができないとかなり不安定な精神状態になってしまいます。

興味深いのは、夜の人工光が精神疾患のリスクを高める可能性があるという研究結果です。

スマホをはじめとして夜に人工的な光を浴びすぎると、就寝時間が遅くなり、不安障害、気分障害、双極性障害、うつ病などを患いやすくなるという研究があるのです。

近年、若年層の精神疾患増加にはこうした生活スタイルの変化も影響しているのかもしれません。

20代で目立つ労災認定の増加

労働環境により精神的な病を発症した場合に請求される労災は、年々増加しています。毎年自殺者が出ている事も見逃せません。

中でも注目すべきなのは、20代での増加が顕著なことです。他の年代でも増加はしていますが、緩やかで20代ほどではありません。

人手不足、人間関係の悪化などが原因に挙げられますが、即戦力が求められるようになりプレッシャーを感じる方が増えたなど経済状況の変化を関連づける方もいます。

こうしたケースでは自分のメンタルヘルスが損なわれているにも関わらず気づかないと言うケースもあります。

重症化してからだと、治療が長期化してしまうことが多いので、本人が相談できる人も見つけるのはもちろん、周りのケアも手厚くしたいところです。