食事がメンタルやストレスに与える影響

心の健康のためには食事にも気を配りましょう

心の病気を抱えている時には、コミュニケーションや社会との距離感、お薬を利用した治療、といった直接的な原因、解決策に目がいきがちです。

ただ、運動や食事といった生活習慣の基本についてもぜひ見直してほしいと思います。

精神科やメンタルクリニックに行けば、バランスの良い食生活を心がけてください、と言われるとは思うのですが、メンタルヘルスやストレスへの影響が大きい個別の成分、食品にも気を配ってほしいと思います。

メンタルやストレスを落ち着かせる食事の基本

バランスよく食事をすることは基本ですが、多くの方に不足しがちなのにメンタルやストレスとの関係が深い成分があります。

トリプトファン

メンタルやストレスに大きな影響を与えるのが、神経伝達物質です。

神経伝達物質とは、脳内で情報を伝達する役割を担うものです。

この中でも、心の健康に貢献するのがセロトニンです。幸せホルモンという愛称からして増やすべき物質であることが分かると思います。

セロトニンが生成されるためには、トリプトファンとビタミンB6が必要です。

トリプトファンは、私たちの体内では生成されないので、食品から摂取するしかありません。具体的には、肉類、魚類、大豆食品、卵、乳酸品などです。

ビタミンB6は、玄米、青魚、にんにく、生姜から摂取することができます。

このどちらも摂取できるのが、バナナです。少し今日は心が不安定だなという時には、朝ご飯やおやつにバナナを食べるとよいかもしれませんね。

たんぱく質

セロトニンに限らず、あらゆる神経伝達物質はたんぱく質でできています。

脳内のホルモンを正常なバランスに保つために、肉や魚、大豆食品、乳製品といったきちんと食べましょう。

これらはトリプトファンとも共通する食品ですね。

つまり、心の健康のためには、お米やパンなどの炭水化物だけではなく、おかずもしっかり取り入れようということになります。

食物繊維

近年は、脳と腸の関係について研究が進んでいます。

善玉菌が優勢となり、腸内環境が整うと、脳にも良い影響があることが分かっているのです。

食物繊維は、腸の活性化、腸内環境の調整に役立ちますが、意識しないと不足しがちな成分です。

芋類や豆類、ごぼうなどの野菜に多く含まれます。

近年は、食物繊維のサプリメントも販売されています。普段の食生活から補うことが難しい方は活用してもよいでしょう。

メンタルが不安定な時に避けたい食品

まずは、糖分です。

甘いものや炭水化物は、脳が疲れている時に食べるべき、というイメージを持っている方も多いと思いますが、食べ過ぎには注意が必要です。

不安な時に糖分をとるという癖がついてしまうと、ストレスに負けやすくなり、依存してしまうことが起こり得ます。

そのほか、カフェインにも気をつけましょう。

カフェインには覚醒作用がありますが、これだけに頼っていると疲れや不調をもたらします。

どちらも適度に摂取する分にはありませんが、調子が悪い時に特定の食品を食べるというルーティンを作ることは避けた方がよいでしょう。